須田農場で出会う冬を生きる野菜収穫&試食体験
日本料理は素材の味を活かした料理だと言われています。スパイスや脂に頼らない旨味を引き出すには、素材本来の味がとても重要になります。その最高峰である東京の三つ星レストランに野菜を提供している農場が十勝にあります。十勝北部の上士幌町の須田農場は兄弟で美味しさを追求する農場。ここでは品種の持つ持ち味を極限まで引き出した究極に美味しい野菜作りに取り組んでいます。須田兄弟はこういいます。「十勝の農業は食料生産を通じて人の命を守る農業。先人が作ってきたその役割を継承し、さらに食べることに喜びを感じる究極の美味しさを目指したい」。
このツアーでは、須田兄弟に農場の案内をしていただき、マイナス20度の極寒の中で育つ寒締めほうれん草、甘みと風味が極限まで引き出された熟成じゃがいもなど、一流のシェフを唸らせる最高の食材を楽しんでいただきます。きっと、野菜はここまで美味しくなるのかとの驚きを感じられるでしょう。
美味しさには様々な種類があります。料理でも日本食と中華料理では美味しさは違いますし、同じジャンルのレストランでもそれぞれのお店ごとに目指す美味しさも違います。農産物にも糖度が高い、ジューシー、味が濃いなど、様々な美味しさがあり、農家はそれぞれが自分の理想とする美味しさを考えています。そんな中で須田兄弟が考える美味しさとは「作物が健康に育つことで、その品種の持っている持ち味を最高に引き出した味」です。
野菜の中には、栽培の上手い下手で味が大きく変わるものや、誰が作ってもそこそこ美味しくできるけれど、上手く作っても一定以上美味しくなりにくいなど品種ごとの味の範囲があります。二人が美味しさ重視で作る野菜では、美味しさのポテンシャルが一番高い品種を選び、そのポテンシャルを最大限引き出す栽培をしています。野菜の本来の持ち味を最大限出すためには、手間やコストのかかる栽培方法も必要になりますが、美味しさ専用の畑では一切妥協せずに育てます。
野菜が健康に育つには、土が何よりも大切です。植物が成長するには、窒素、リン酸、カリウムの3要素が必要と言われています。ただ大きく育てるだけなら、この3つが不足しないようにすれば十分です。しかし、人間の健康にもビタミン・ミネラルが必要なように、健康に育てるなら植物にとっても微量のミネラルは必須の栄養です。
須田兄弟は栄養を溜め込んだ土を作り、ミネラルまで含めた栄養分のチェックをしています。広い畑の多くの地点をチェックするのはとても大変ですし、必須の3要素だけでも十分作物は育ちますが、二人は味に大きく影響するものにはとことん取り組むと決めています。
十勝の農業は貧しい開拓の時代に家族を食べさせることから始まり、その後日本の発展とともに、食料生産基地として、大量に作ることで人の命を守る役割を果たしてきました。須田農場の一番の役割も野菜を多く作って命を守ることです。
しかし、命には栄養だけではなく、心が満たされることも必要です。先人が作ってきた十勝の農業の伝統をさらに発展させていくためには、美味しさの追求をしていくことも必要です。
二人が本気で作った美味しさに特化した野菜は、ありがたいことに東京の星付きレストランを始めとし、多くのお客様に支持されています。十勝の農家は今よりもっとすごい農業ができるのです。そのフロンティアをご案内し、一緒に美味しい野菜を味わっていただきたいです。
<ご試食いただける野菜> 熟成じゃがいも きたひめ
ポテトチップスに使われる加工用の品種で、揚げても焦げないように糖度は少なく味は淡白です。この品種は元々が淡白な味のため、微細な雑味がしっかり主張するように健康に育てると爽やかで風味のよい食味に変わります。ただ、加工用のため特別美味しくしなくとも買い取ってもらえるため、美味しく作ろうとする農家は稀ですし、美味しいものは市場にはほとんど出回りません。じゃがいも王国の十勝でもこの品種が育て方次第で本当に美味しくなることはあまり知られておりません。このじゃがいもは、熟成させると甘みと風味が格別に高まります。熟成品は低温で数ヶ月寝かせることで、じゃがいも自身が凍らないようにでんぷんを分解し、糖を作るので甘みが増します。ただし、増えるのは糖だけですので、もともとの味がよくなければ美味しい熟成品にはなりません。須田農場のじゃがいもだからこそ出せる風味と甘味を楽しんでいただければ幸いです。
須田農場の熟成じゃがいもは都内の三ツ星店でも取り扱われる一級品。地元でもほとんど出回りません。
<ご試食いただける野菜> 寒締めほうれん草
ほうれん草は寒い環境で育てると、背丈を低くし葉を地を這わせるよう生やし、体内の温度を少しでも維持させるために葉を厚くします。そして、凍らないように水分を排出し、体内の糖分の濃度を高めるのです。だから寒締めほうれん草は味が濃く、甘みが強くなるのです。上士幌町は北海道の中でも特別に寒く、最低気温マイナス20度を下回る日も多くあり、ほうれん草は旨味となる栄養を濃く凝縮します。日本トップクラスの寒さの土地で、一番寒い時期に作った寒締めほうれん草は、他では食べられないほどの甘さと味の濃厚さを持っています。エグ味がなく、中心にいけばいくほど甘くなります。それは、植物が命を守るために体の中心や根っこなどの重要な部分に栄養を多く蓄えたからです。なので、是非根っこまで食べてください。
その他にもさつまいもや冬野菜をご用意します。
※写真はイメージです。
スケジュール
13:00 | 須田農場 集合 |
13:05 | 自己紹介&体験レクチャー |
13:15 | 須田兄弟から野菜紹介&試食の下準備 |
13:30 | 農場見学・寒締めほうれん草収穫体験 |
14:00 | 自慢の野菜(寒締めほうれん草・熟成じゃがいも・さつまいもの壺焼き)を須田兄弟とともに試食 |
15:00 | ツアー終了 |